INTERVIEW「土佐の植物暦」著者インタビュー

Special Interview「土佐の植物暦」著者インタビュー

「土佐の植物暦」の著者、小林 史郎さんに本書の見どころや
楽しみ方をお聞きしました!

―この本の大きな特長は、だれにも親しみやすく、分かりやすいことです。案内文はもちろん、冒頭の「はじめに」から「あとがき」にいたるまで、やさしい言葉づかいですし、手書きで描かれたイラストも効果的です。小学生からも感想文が届きました。

小林 史郎さん(以下敬称略)

 植物学分野の専門用語に慣れていない方にも親しんでいただけるよう、特に気をつけて書くようにしました。「はじめに」と「この本のみかた」のところは本を優しい感じにしたくて内容に合った手描きのイラストを妻に描いてもらいました。それをもとにデザイナーさんが全体の雰囲気に合うような絵にしてくれました。表紙と「あとがき」の草花は、新聞連載(高知新聞夕刊「土佐の植物日誌」2008年4月~2019年3月連載)のきっかけをつないでくださった新田義治さんの絵です。植物と向き合う気持ちが温かく感じられて大好きな絵です。

親しみやすいイラスト

新田義治さんの絵

文もイラストもやさしい

―花の蜜に集まる昆虫の話がよく出てきます。立ち止まって、しゃがんで、じっくり観察しないと分からないことですね(本書P153ヤマジノホトトギス参照)。

小林

 花を訪れる昆虫のことは、私が植物を見るときの楽しみの一つでもあり、皆さんにも楽しんでもらえたらいいなと思って書いています。かつては大学でこの研究をしていた時期もあります。本では分かりやすく紹介するように心がけました。

ミツバチは大活躍

チョウ?それともガ?

大きな虫は体じゅう花粉

ミカンの花に黒いチョウ

―この本では草花の生育環境にも触れられ、土壌との関係でしばしば出てくるのは蛇紋岩地と石灰岩地です。やさしい記述を入り口に深い世界へと導いてくれるのは、他のガイドブックにはない特長だと思います(本書P33トサミズキ参照)。

小林

 蛇紋岩と石灰岩は特別な植物が多く生える地質で、全国に点々とあるのですが、高知県は特に多いです。土佐の植物の育つ環境としてぜひ、知っておいてもらいたいと思っています。

白髪山の山頂

岩に付いたコケ

大理石のような岩

錦山の蛇紋岩

―グミやノイチゴなど果実の紹介では必ずといっていいほど口にした味にも触れています。ほかにも花や葉の匂い、あるいは薬草、食用としての用途にも触れられ、簡潔な解説の中にも情報量がたいへん豊富です。

小林

 匂いや味、どんな感覚も大切に使って、植物とのつき合いの幅を広げられたら嬉しいと思います。茎や葉を触った感触、葉擦れの音、かじったときの歯ごたえ、花びらの散りやすさなど、植物を感じるやり方は無数にありますから。
 食いしん坊の私としてはおいしい植物をこれからも探求していきたいと思っています。読者の皆さまからもさまざまな楽しみ方をぜひ教えていただきたいと思っています。

ナワシログミ

クサイチゴ

ナワシロイチゴ

ヤマモモ

―「土佐の植物暦」の発刊に先立ち、高知新聞夕刊で「土佐の植物日誌」を11年間にわたって連載されています。3,000回を超える連載の膨大な内容から本では高知県の在来種462種に絞ったのはどんな理由からでしょうか。

小林

 昔から土佐の植物をご覧になっている方にも、これから土佐の植物を見てみようと思う方にも土佐の風土に長年なじんでいる在来種を紹介したいという気持ちからです。本にまとめる過程の途中で「在来種に絞る」と宣言してはみたものの対象が減るわけですから、どの植物を選ぶかにはじまり、取材・執筆まで想像を越える大変な作業になりました。
 でも、大変であった分、高知県らしい植物たちの魅力を伝えることができたと思っています。

シロバナタンポポ

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