REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.11
ときどきはどこか遠くへ、そう思い立って県西部で催された植物観察会に参加しました。6月中旬の休日、今にも雨が降りそうな梅雨空の下、雨がっぱと長靴も用意して遠路でかけました。催しの案内に「希少植物のカキラン、ウツボグサなど‥」とあったからです。
見たことも聞いたこともない名前でしたが、「土佐の植物暦」には紹介されています。今まさに花の見ごろ。バッグに本を入れると気持ちも弾みました。
初めての探訪
集合場所は山あいの空き地。参加者たちを待つ間、道ばたをふと見ると赤紫色の花が広がっていました。「もしや‥」。本を取り出してページを繰ると、やっぱりウツボグサでした。
円筒形の花穂のように見えますが、近づいてよく見ると小さな花が寄り集まっています。本によれば「花が咲いた後の穂を乾燥させて煎じたものは利尿剤などとして使われる」そうです。案内文の希少植物と早くも対面。初めての探訪はこうして幸先良く始まりました。

参加の甲斐あり
ガイド役の地元の方に導かれ、湿地に足を踏み入れると、ほどなくしてカキランの自生地に。茎の先付近に黄色っぽい褐色の花やつぼみをいくつも付けています。
下向きの花に身をかがめて顔を近づけると、下部の花びらだけがピンク色。「唇弁(しんべん)」というそうで、観察会の講師は「受粉のために虫が止まりやすい花びらに進化した」と解説。そんな知識が一つ増えただけでも参加した甲斐がありました。

保護するのは人の役割
日当たりが良い草地や湿地、低木が茂ったヤブの中、約2時間の探索でスズサイコ、サカワサイシン、キキョウソウ、ツゲ、モウセンゴケ、ヤマワキオゴケなど、初めての出会いがたくさんありました。
「土佐の植物暦」には環境省と高知県が昨年4月に公表したレッドリストの掲載種一覧も編集。絶滅のおそれがある植物をまとめています。スズサイコ、サカワサイシンは対象に入っていました。その多くはおそらく人間社会の営みが窮地に追いやったのでしょう。だから保護するのは人の役割。この本はそんな気持ちにしてくれます。
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